Vol.199. 医療系翻訳タイムズ -似ているけれども概念が真逆?-
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みなさん、こんにちは。
メディファーマランゲージ(株)の今栄子(こんえいこ)です。
前号では、医薬翻訳で誤訳が多いパートとして、「薬理英語」を挙げ、
先般、上梓した教材の中では、例えば、"tolerance"もリストアップしています。
"tolerance"の和訳は、「耐性」ですが、薬の繰り返し投与によって、
同じ薬でも効きが弱くなる、つまり、効果が減弱することを意味します。
例1:Patients developed tolerance to the drug after repeated administration.
(患者はその薬に耐性を示した)
例2:Tolerance to the analgesic effect was observed.
(鎮痛効果に対する耐性が認められた)
注⇒鎮痛効果が弱くなる現象であり、
薬理的な「耐性(tolerance)」を意味します。
ところで、似たような用語に"tolerability"があります。
和訳としては「忍容性」。
患者が副作用にどれだけ耐えられるか、つまり、
患者がその薬を使い続けられるか、その薬の投与を継続できるか、
を意味します。
例3:The tolerability profile was acceptable.
(忍容性プロファイルは許容範囲内であった)
"tolerability" は安全性・副作用に関する概念であり、
「忍容性」と訳すのが適切です。
例4:The drug was well tolerated.
(その薬は忍容性が良好であった)
注⇒tolerated は tolerability(忍容性)に対応し、
副作用に対する耐えやすさを示します。
「耐性」と訳すと意味が逆になります。
要約すると、
■ tolerance
=耐性(効きにくくなる/効果が弱くなる)i.e. 薬効に近い概念
■ tolerability
=忍容性(副作用に耐えられるか)i.e. 安全性に近い概念
つまり、両者は全く異なる概念です。
似通ったスペルから、和訳や概念を間違わないことを進言します。
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